「きっと葵くん、もっと伸びるよ!あれだけの時間でこれだけ伸びたんだもん」
「ああ…初めて見た…」
葵くんも驚きが隠せない様子。
「おお、藤堂!お前、すごいじゃないか!」
「武井…」
「武井じゃなくて、先生だ!…まぁ、今日は大目に見てやろうか」
生活指導の先生が葵くんを見つけて呼びかける。
ニコニコと笑いながら葵くんの肩を叩く。
「藤堂が90番を取るなんてな、俺は夢でも見てるみたいだよ」
「大げさだろ」
「大げさなもんか!」
生活指導の先生だから、武井先生と葵くんは因縁の中のようだ。
よく怒られている葵くんを見たし、先生に果敢にも反抗する葵くんもたくさん見た。
だからこそ、嬉しいんだろうな。
「そうか、早瀬の影響か。そうか…。早瀬、こいつを頼んだぞ!」
「先生…、はい!」
「おい!勝手に話を進めんな!」
頼まれたことが嬉しくて、元気よく返事をする私。
そんな私に先生にいつもの調子を崩されている葵くん。
なんだか、おかしい。