学校に行くということを人生の上で欠かす事なく行ってきた俺にとって、学校に行かないということは信じられないものだった。
だが、今は違う。あの小川が、俺にサボろうと誘っている。





皆勤か、小川か、自転車を停めて俺はこの上なく迷った。雲が流れ、初夏には相応しい青々とした天気。






「えー…」




どうするよ俺。皆勤なんて捨てて小川のためにサボっちゃえよ好きなんだろ?
と誰かが言う。




「うーー…」




早く言わないと小川があきれるだろうが。早く言って楽になれよ好きなんだろ?と、たしかに誰かが言う。





「そだ、うちん家くる?」

と小川は言った。







どき
どきど
どきどき
どきどきど
どきどきっきど
どきどきどきどき
どきどきどきどきどきどき





心臓が十年間くらいの仕事をしている。
小川が学校をサボって自宅へ誘っているこれは恋人のシチュエーションだったらかなりやばい状況だでもおれは小川の恋人じゃないし好きにもなってないからどうすればいいんだろう


もう全身の汗は限界まできていた。



真っ白になった。







「わかった!一緒にサボろう」








海みたいな小川は笑った。















「嘘よ。」