ペダルをこぐこともだるく感じる。多分あまり寝てないせいだろう。




駅はいつものように混む。駅の真正面にある目立った木の前に立った。






小川は大方の予想通りやってきた。変わりのない制服姿。だがひとつだけ予想を裏切ったのは、小川ひとりだけで登場したことだ。





「おはようー。」






と小川は言った。その一言で昨日から悩んでいたモヤモヤが取れたような気がして、体が軽くなった。



信じられなく可憐だ。
俺は少し笑って「おはよう」と右手をあげた。が、ここで二人きりなことに気付き、不安が頭に過ぎった。