俺は、生まれて16年間で付き合った女性はいない。だから、女子を好きになるというその一般男子におけるいたって普通のことさえ普通ではないという感覚になってしまったのである。



いつからだかクラスのオシャレ軍団あたりが付き合うだの付き合わないだの言いだした時期。付き合うことがポピュラーだというとらえ方が俺は嫌いだった。そんなの相手に失礼だとおもったからだ。
そんな分かりやすい言い方で言えば童貞という俺。悲しいことだけれど。


俺はいつも音楽ばかり聴いてたっけか。GOING STEADY、銀杏BOYZ、Theピーズ、NUMBER GIRL、RAMONES、INU、ゆらゆら帝国…ほかにもたくさんある。そうして音楽を聴いていたら、高校二年生になっていたのである。



成績もたいして良くないし。運動もたいして良くないし。モテないし。そんないわゆるボンクラな生活を送っている俺。まったく明日の見えない日々だ。


だから、田村の問い掛けにも当然「いないよ」と言う準備をしていた。教室の扉が開いた。