ただ泣いている長谷部さんだった。俺は立ち尽くしていた。物事もそれほど考えられない。
人生10年分の衝撃が、この数分でバシバシと突き刺さったような気がする。






話を聞いていれば、前から長谷部さんは肘が悪く、それによってバレーが出来なくなる恐怖から逃げていたらしい。だが、医者に手術を宣告されて、誰にも言うことの出来なかった感情が破裂してしまったらしい。しかし、俺が何故この状況になっているのかは分からなかった。聞くことができなかったのだ。





「ねえ…ほんとにごめんね星山君」



長谷部さんは初めて冷静な口調で俺に言葉をかけた。