長谷部さんが唇を離した瞬間、俺は一気に現実に引き戻されたような感覚だった。


俺は初めてのキスを付き合ってもいないクラスの人とした。俺は小川のことが好きなのに。
何故か、キスの最中、小川を思い出していた。




長谷部さんは、泣き崩れ、地べたに座って泣いていた。
「ごめんね……星山君」



と弱い声で何度もつぶやいた。





「あたし怖かったの…バレーはあたしのすべてだったのになんで……なんでなの?星山君にまで迷惑かけちゃった」





俺はなんにもしてあげられなかった。
ただ、座って泣いている長谷部さんを見ていた。
回る。回る。ぐるぐる回る。悪魔とおどる。