時間が経つにつれ、人が増えてきた。見知らぬ人ばかりだ。濃い化粧を顔に塗りたくった、スカートの短い、おそらく彼氏と夜な夜な過ごしているのだろうという女子や、厳しい家風をもろに受けた後ろにしばった髪、眼鏡をかけて真面目くさった女子。なんだか俺はここにいられない気分になった。



そのとき、うしろからバリカンで剃られたであろう髪をぶらさげた男性が声をかけてきた。

「ほぼほ星山!お同じクラスかっての!まあ一年間がばろえぜ!」田村だ。正直彼が言うことは半分以上聞き取れない。なのでなんか面倒な奴だ。



その細長い体を椅子に置く。そして田村は言った。


「なあ星山。おまえ好きな人この中にいるか?」