駅が見えた瞬間、俺は自転車を停めて身嗜みを整えた。気分は先陣をきって突っ込む特攻隊のようであった。





駅。こんなに違うのかというくらいバラバラの顔たちが流れていく姿をぼんやりと眺めながらドキドキしていた。






その顔の流れから小川が見えたとき、心臓はかなり限界だった。もうその場から逃げたくなった。小川は俺に会いに来ている。そういえば何故突然一緒に学校へ行こうと言い出したのだろうか。
…否や。そんなことはない。あるはずない。







「あーおはよう星山君!」



とモーニングスマイルをキメる小川はこの世に生きるものの何より可憐な君だった。
小川の隣には友達らしき人物がいた。俺は少し安心した。二人キリなら緊張して話しすらできないだろう。





「どーもーこんにちは…」
と控えめな挨拶。名前は川島さんという。





「この子はマイペースだからね」と小川は微笑気味に言った。







三人は学校に向かって歩き出した。