俺は不思議なほど小川と話をすることができた。帰り道は駅に向かうところまで同じだということ。weezerが好きだということ。そして今、学校がつまらないということ。その話をした瞬間、小川は目を少し閉じた。


小川は電車に乗るため駅で別れる。
「じゃ星山くん。またいつか逢いましょー。」
と子悪魔っぽく、いやコア熊っぽく笑って階段を上ろうとしていた。


その時、俺は「でっかいこと」を思い出した。「でっかいこと」を思い出して、帰りぎわの小川に思い切って声をかけた。


「あ、小川さん!…アドレス教えてよ」



小川は振り向き、少し不思議な顔をした。俺は不安になった。
「あっうん全然いいよ!」


とおもむろに鞄から携帯電話をとりだした。