そこにいたのは、木村と彼女であろう人物だった。いかにも、うわやっちゃったよ…的な木村の表情。そして寄り添っている彼女らしき女性。


「あ、よぉ〜星山。さっき言った彼女の、絵里」



あ、どーもと控えめにあいさつをした絵里。俺はかなり早いスピードでここを立ち去りたくなった。

「じゃあな。」といって木村と不愉快な仲間たちは去っていった。



不幸に不幸は重なるというが、俺は不幸な海に丸太一本で浮かんでいるような孤独感にかられた。はあーーー、とため息を伸ばしながら自転車を漕いでいた。



結局小川には逢えなかった。ああ。せめて夢で逢わせてくれや。と致死量なほど気持ち悪いひとりごとを言ってしまった。イヤフォンからは、銀杏BOYZの夢で逢えたらがキラキラ流れていた。夜と化した波は俺を擦り抜けて過去になっていく。すなわち、夜の波を越えていくのだ。






ああ夢で逢えたらいいな
君の笑顔にときめいて
夢で逢えたらいいな
夜の波を越えてゆくよ  


ベイベーーーー