電車が通るのが見える。この次にくるあやしい老婆の経営する文房具屋を過ぎると、麒麟高校に通う生徒でごった返す道がある。その道に行くことすら緊張して嫌だ。俺はその辺をグルグル回った。バターにはなりたくない。くるっとタイヤが回るたびにバランスがくずれ、「あぁもう」とどうでもいい苛立ちが駆け巡る。



このままではらちがあかない、と俺はその道へと足を進めた。すると、前記の木村と望月が後方からやってくる。






「いやーー涙!俺緊張して全然眠れなかったっつーの!」と望月は言う。



望月はいつもヘラヘラしている。筋肉マンに似ている。いつもヘラヘラしているせいでこの間腰を抜かした経験がある。きっと彼はいい人生を歩むであろう。



変わって木村は二枚目で(死語)知性派なやつである。二人は昔からの幼なじみだ。その仲にはなんだかうまく入り込めないみたいな点がある。





学校は、あの坂を上ったところにある。