俺は保健室を出た。もう外は夕日が射して、いい感じの角度になっている。六時のサイレンが鳴る。



ついに木村に先をこされてしまった。だが木村もイケている男である。もう童貞でもなんでも捨ててしまえ!と自暴自棄になった。ら、頭が痛かった。


自転車を漕いだ。いつもと何ら変わりない道を何ら変わりない自分が通る。何ら変わりない。
今日はいろいろな感情が渦巻いているようだ。なんだかなあ。




あなたがこの世界に
一緒に生きてくれるのなら
死んでもかまわない
あなたのために



GOING STEADYの駆け抜けて性春は夕暮れに合いすぎて合わなかった。俺は感情が高ぶっていつもより早くペダルを漕いだ。不思議と涙が出た。だから下の名前が涙なのだろうか。




星降る青い夜さ
どうか どうか 声をきかせて
この街を飛び出そうか
つよく つよく 抱き締めたい



そうだよ。俺はダメだよ。認めるよ。勉強できないよ。三流大学に行くよ。夢もないよ。スポーツもできないよ。誇れることもないよ。長男だけどよ。だけどな、だけどな、これだけは言える






「俺は、小川が好きだ!!!」




自転車は着々とCDショップへと近づいていた。