「ごめんね。あまりにも君が必死の形相だったから」



俺は万引きをしようとしている人に間違われた。店員ならまだしも、いや店員がいい。そして警察にこっぴどく叱られたほうがマシだ。よりによって、世界最愛の人に間違われたのだ。 


「いや…全然いいです…」と俺は目線をずらしつつ言った。



「ほんとにごめんなさい。ひょっとして、君三組の人だよね?」


「うんそうだよ。」


「だよね?うんじゃあごめんねばいばい。」




「あ…じゃアドレス教えてください!!」




の「あ…」の時点で小川は振り返り、小走りで逃げていった。この空気からの脱出かと思われる。


「なんでやねん…おい…なんでやねん…」
と一世紀昔の関西弁で悔しがることしかできなかった。
俺はさまざまなことが起きたことに対しての整理がついていかないらしく、その場でウロウロ回りだした。バター。