知り合いができた安堵感からか、俺は今まで考え続けてきたあの女子のことを三時間目まで忘れていた。


昼休み。木本と話す。話していくにつれ、なにか安心していく。周りを観ると、すでに女子たちはグループで分かれていて、明らかにボス的な女子は前の方に、文科系な(眼鏡率が80%)人たちは窓際に、その中間な女子は真ん中に固まっている。


どうしていつになってもこんな人間関係が丸出しな教室になってしまうのだろう。と思いつつ周りを観ていた。


そんな時、話し声のなかに埋もれるかのようにドアが開く音がした。俺は完全に見逃さなかった。あの日あの時観た｢あの女子｣に完全に一致した女子が、その肩にかかりそうな髪を揺らし中間な人たちの中に入っていったのを。



俺はあまりの突然の出来事に驚き、｢ナーーーー！！｣と言いながら立ち上がってしまった。木本は会話の途中のこの友人の理解不能な行動に目を丸くした。


そうだ。あの女子だ。一回見ただけで自分の頭の中で想像していたイメージを上回る姿で、まさに俺はあの女子になにか違う感情を向けているのかもしれないと思った。


そうだ。木本にはこのことを言っていいんじゃないか。キングオブイケメンな木本くんなら何か知っているかもしれない。


｢なあ、あの茶色気味な髪の女子って誰？｣






｢ああ、二組の小川だろ｣