俺の家族は俺を含めて四人、父と母と二つ下の妹がいる。父は普通の会社勤め。母は専業主婦で、この団地の主婦で一番の権力をもっているらしい。妹は今年高校受験を控えている。
いたって普通の家庭だ。


帰ってきて、母がクラス替えのことについて問われることなく、二階の自分の部屋へ向かう。
隣は妹の部屋。妹はクラスでも人気からあるらしく、しょっちゅう同級生らしき人が来ているから居づらいのだ。父曰く「最近話してくれない」らしい。


俺は今日あったことを整理しながら、マウンテンデューを飲みながらおとぎ話というバンドのCDをかけた。「ヴぇ〜」と言いながらあの女子を思い出した。
部屋は夕焼けを終えて薄暗くなる。貼ってあるポスターの甲本ヒロトは目を大きく開いてこっちを向いている。



「でも、俺が何回あの女子のことを考えても、何回あの女子のことを見ようとしても、俺のことを好きになることはないんだろうな。きっとそうだろうな。」



ため息をついて、部屋の扉を開けた。




続く