「え、別に暇っていうか、」



特に何もしてないんだけど。



「最近ずっと外出てないから、たまには出た方が良いだろ。

アイツ等の昼飯でも買いに行くか」



「え、麗が行くの?」



「お前にひとりで行かせるわけないだろ」



「まぁ、うん……」



「外寒いから、用意してからな」



行くぞ、と彼が私を離して、手を引いたまま2階に上がる。




ふと、振り返れば。



人生ゲーム中だった彼等は、私たちを見て優しく微笑んでくれた。



2階に上がって、ちゃんとコートを着てから外に出る。



マフラーは、前に彼がくれたものだ。



「麗、寒がりなのに。よかったの?」



「別に気にすんな」



そう言う彼が、私の手を優しく握って。



冷たい指先が、ゆっくり温められていく。