「麗はね、色んなこと抱えてるから」
私を裏切り者扱いしたことも、実際抱えてた。
たった、ひとりで。
「誰か一人でもそれに気付いてあげれば、私じゃなくても優しい顔してくれるようになると思うよ」
そう言ったとき。
ふわりと、後ろから抱きしめられた。
「汐乃」
私をこう呼ぶのは、彼ひとり。
「沙和との話、終わったの?麗」
「ああ」
「私に何か用?」
「いや、特にない」
「……そっか」
ゆるく彼の腕を解いて、体を反転させる。
麗を見上げれば。
「暇か?」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…