「凌、顔赤くない?」
「はっ、いや、気のせいだろ……!」
「……そう?」
「絶対そうだっつーの!」
なぜか少しキレ気味になったかと思うと、凌は視線を教科書に向けた。
「んで?」
「あ、うん。これはね、」
凌は勉強できないんじゃなくて、しないだけだから。
教えてあげれば、案外すんなりと覚えてくれる。
「サンキュ。これだけ困ってたからな」
「どういたしまして」
じゃあ次誰のとこ行こうかな、と考えながら。
沙和からもらったミルクティーに口をつけたあと。
「ああ、」
あっちの方行こう、と。
受験生組じゃない、他の学年の子たちが静かに遊んでる方へと向かう。