凌のところに行けば、彼は珍しくメガネをしていて。
「凌って、メガネしてた?」
クラス同じなのに気付かなかった。
「あ?ああ、いつもはしてねーからな」
「勉強のとき、だけ?」
「いや、真面目に勉強する時だけ」
じゃあ、真面目に今やってるんだ。
当たり前のことなのに、彼が受験生なんだってことを改めて理解して。
「そういやお前、梨緒はいーのか」
「あ、うん。
凌が聞きたいことあるって言ってたって沙和に聞いたから、こっち来たの」
言えば、彼は「そうそう」と言いながら教科書をめくる。
凌が勉強してるのはレアっていえば、レアだけど。
「これ、お前わかる?」
「……凌、文系得意なのに珍しいね」
教科書を、横から覗きこんで。
納得してから、顔を離したとき。