『ふっ。もう帰ったから、気にすんな』



「っ、そっか」



『何か用事だったんだろ?』



「あ、の……今から空き教室来てもらえる?」



『……わかった』



「う、うんっ。それだけ」



切るね、と言って切ろうとしたとき。




『汐乃』



「な、なに?」



『なんでもねぇ。

呼んだだけ』



そう言って小さく笑うと、彼は「すぐ行く」と電話を切った。



……ず、るい。



「あれ、シオ顔赤くない?」



「麗くんに何か言われたのーっ?」



「……なんでも、ない」



私がもっと好きになってるってこと、麗は気付いてるんだろうか。