「成美っ!」

「ちょっとあんた、殴るなんて最低!!」



呆然としている成美ちゃんを一緒にいた友達が囲み、全員があたしを睨みつける。



「最低なのは成美ちゃんもでしょう!?」



意味が分からないよ。

キス以上に進めなかったから別れるって。


笠原くんといつも一緒にいられる成美ちゃんを……。

いつもそばで笠原くんの笑顔を見ていられる成美ちゃんを……。


そして、笠原くんに愛されている成美ちゃんを……。

あたしがどれだけ羨ましいと思ったか――。



「そんな理由で付き合っているんだったら、今すぐ笠原くんと別れて」



あたしにそんなことを言う権利なんてないのかもしれない。