「あ……、びっくり……したぁ……」



目の前にいるあたしを見て、成美ちゃんは顔を引きつらせながら無理に笑う。


なに無理して笑ってんの?

こんな状況で……。



「ちょっ……!」



あたしはツカツカと無言で成美ちゃんに歩み寄る。

あたしの心臓がバクバクいっているのは、怒り。ただそれだけだ。



――パシンッ……!



一発、思い切り力を入れて成美ちゃんの頬を殴る。

陶器のように滑らかで、真っ白な成美ちゃんの頬が赤く染まり始める。

痛そうに頬に手をあてがう成美ちゃん。

殴ったあたしの右手が、じんじんと痛み出す。