喜んでくれた愛美を見ていたら、本当のことが言えなかった。

親友なら、正直に打ち明けるべきなのに……。



「ごめんね、黙っていて……」

「まったく……」



呆れたように愛美が、あたしの右頬を軽く叩く。



「これで笠原が振り向かなかったら、あんた、すっごい惨めよ?」

「……うん」



愛美の言っていることはすでに当たっている。

あたしが聡くんと付き合い始めてから、笠原くんの態度は全然変わらないし。



「考えてみれば……」



窓の外に広がる青い空を見上げながら、呟くようにしてあたしは言う。