何事もなかったかのように、笠原くんは成美ちゃんと手を繋いで歩き始める。

あたしも聡くんと、同じように手を繋いで歩き始める。


楽しい水族館。弾む話題。

それなのに、あたしと笠原くんの間に、会話は一度も成り立たなかったんだ。


営業終了のギリギリまでいた水族館。

外に出ると、空がほんのりとオレンジ色に染まっていた。


聡くんと笠原くんは「じゃあな」と互いに別れの挨拶をし。

あたしは成美ちゃんから「また一緒に遊ぼうね」と、決して実現することはないだろう二度目の誘いを受けた。




「……章吾となにがあった?」



笠原くんたちと別れたあと、聡くんが、水族館で二人きりになった時のことを聞いてきた。



「うん……」