うだるような暑さの中でようやくたどり着いた水族館。
中に入った瞬間に冷気に包み込まれ、極上の幸せを感じる。
入ってすぐに【順路】と書かれた看板。
あたしたちは、律儀にも順路通りに館内を歩いていく。
薄暗い館内。
いくつもの水槽の中で、ゆらゆらと魚が群れを成して気持ちよさそうに泳いでいる。
「いいなぁ……。あたしもこの中に入りたい」
館内のほぼ中央部分に設置された巨大な水槽。
時が経つのも忘れてしまうくらいに、あたしは水槽に見入っていた。
「……あっ!」
突然、成美ちゃんが声を上げ、同時にあたしは我に返る。