聡くんと一緒に行った本屋。
そこで笠原くんとバッタリ会って。
いつもならあたしは、大喜びして「笠原くん!」と駆け寄っていくのに……。
笠原くんなんか見向きもせずに、ただ、聡くんだけを見つめていたんだ。
聡くんは思った以上に優しい。
彼についていけば、幸せになれるかもしれない。
でも――。
幸せに向かって歩き続けているこのレールを踏み外してしまったら?
誰かが傷つくかもしれない。
それとは逆に、みんなが本当の幸せにたどり着くかもしれない。
未来のことなんて分からないけれど、どうか後者であるようにと願いながら、あたしは聡くんの彼女として平穏な日々を送り続ける。