遠い昔の思い出。

あのラブレターがなければどうなっていたんだろうって、たびたび思っていた。

でも、あったからこそ、あたしはこんなにも長く一人のひとを思うことができたのかもしれない。



「な?この話、絶対に乗るべきだぞ?」

「……なんだか取引みたい」

「まぁ、ある意味、取引みたいなもんかな」



翠川くんの告白は、少しおどけていたけれど。

何度も「付き合おう」という思いに根負けしてしまって……。


とうとう、あたしは首を縦に振ってしまったんだ。



「よしっ!いい決断だ。俺は絶対におまえを幸せにするぞ」

「もうっ、そのセリフおかしいから止めてよ」



クスクスと笑うあたしに、翠川くんはにっこりと笑いを返した。