「でさ、この前も言ったけどさ、俺と付き合わないか?」

「……だから。あたしは笠原くんを……」

「分かってるよ。おまえが章吾のことしか思ってないことは」

「だったら……!」



どうしてそんなことを言うの?

そう言葉を続けたあたしに、翠川くんは雑草をむしるのを止めて、両手をぱんぱんと振り払いながら言った。



「おまえが章吾のこと、好きでもいいよ」

「他の人を好きなまま、付き合うとかできないし」

「いいんだよ、俺はそれで」

「良くないよ」



うつむいたあたしの頭を、翠川くんはぽんぽんと軽く叩く。

まるで、今にも泣き出してしまいそうなあたしを慰めるかのように。