学校に向かいながら、笠原くんと成美ちゃん、二人が一緒にいるところに遭遇しないように祈る。
こんな狭い街だから、いつ、どこで、バッタリと出会ってもおかしくない。
だけど……。
笠原くん一人だったら、会いたい。
話ができなくてもいいから、せめてひと目、姿を見ることができたらいいのに。
学校の裏庭に着くと、翠川くんがすでに先に来ていた。
こんなに暑いのに、翠川くんは涼しげな表情をしていて。
体中の汗が、一気に引いてしまいそうだ。
「どうしたの?」
翠川くんの方に歩み寄りながら聞く。
「うん、ちょっと話があってね」
翠川くんもまた、あたしに数歩、歩み寄りながら口を開く。