あきらめるつもりなんかないけれど……。

普通に話しかけて、本当に大丈夫?


もしも、彼女……成美ちゃんが、あたしの気持ちを知ったら?

自分の彼氏のことを好きな女の子が、同じ教室にいて、いろいろと話しかけてくるなんて……。

きっと、穏やかじゃないと思うんだ。



「由香ー!電話よー!!」



そろそろ頭を切り替えて勉強しようと思っていると、お母さんが大きな声であたしを呼ぶ。

携帯を持っているあたしなのに。

自宅の固定電話にかけてくるなんて、いったい誰だろう?


「はーい」とやる気のない返事をしながら、リビングに向かい、受話器を取る。



「もしもし?」

『あっ、尾関?』

「……翠川くん」