――笠原くんの……彼女……。



はっきりと言った翠川くんの言葉に、目の前が涙で歪んできた。

小学生の頃からずっと、笠原くんを見てきたけれど……。

笠原くんの色恋沙汰を目にするのは初めてだった。



「いつからよ?」

「……いつからって……」



呆然と立ちすくむあたしを、翠川くんがちらりと見る。

視線を感じて、翠川くんと目を合わせる。

翠川くんは聞いてきた愛美ではなく、あたしを真っ直ぐに見て答えた。



「先週の水曜日だよ」

「一週間まえ?ついこないだじゃないの」



先週の水曜日。あの日だ。

笠原くんがあたしと普通に話しかけてくれた日。

翠川くんが、冗談で「付き合おう」とあたしに言った日。