いつもなら、前向きにそう思っていたのに。

今のあたしは、進むことさえ出来なくなり、途方に暮れていたんだ。


原因は……。

うちのクラスに、突然顔を出すようになった、隣のクラスのあの子の存在。


あと三日で夏休み。

笠原くんと遊ぶ計画を密かに立てていたのに。

それを笠原くんに切り出すことなく、計画はガラガラと音を立てて崩れていく。



「章吾くん!」


隣のクラスのあの子は、笠原くんをそう呼び……。


「成美」


笠原くんは、あたしに見せたことのない幸せそうな顔で、あの子のことをそう呼ぶ。


その間柄は、あたしがいちばん恐れていたものだった。