顔をしかめるあたしの頭を、翠川くんはポンポンと叩きながら席を立つ。
「ま、頑張れよ?協力できそうな時は協力するし」
「協力なんかしたら、笠原くんに殺されるわよ?」
「ははっ、確かにそうだな」
翠川くんはそう笑うと自分のカバンを持ち、笠原くんと同じように「じゃあな」と言って教室を出て行った。
翠川くんが教室を出たあと、ホッと胸を撫で下ろす。
冗談で、本当によかったと。
大好きな人の親友から本気であんなこと言われたら、とても複雑だ。
笠原くんがあたしに振り向くなんてことは二度とあり得ないし。
笠原くんを好きなあたしは、翠川くんの気持ちに応えることなんかできないし。
なんだか今日は、いろんなことありすぎだよ。
あたしの心臓、一日中ドキドキしていたし。
でも、この前みたいに貧血起こして倒れなかっただけ、まだよかったなぁ。