「なに……言ってんの?」



胸がドキドキしている。

でもこれは、笠原くんに抱く気持ちとはまったく別。

翠川くんはじっとあたしを見据え、もう一度、言う。



「俺と、付き合おう?」

「……だから……、なんでそうなるの」



あたしは取り繕ったような笑いを浮かべ、教科書に視線を落とす。

翠川くんは、絡み合う視線から逃げたあたしの顔を覗きこむ。



「章吾は、無理だよ」

「………!」

「な?」



なにを言われようと、あたしの気持ちなんて変わらない。