自分から聞いておいて、そっけない返事。

拍子抜けしたけれど、これ以上のことは何も聞きたくないと、あたしは問題を解くのに集中する。



「なぁ、尾関」

「………」



まだ、なにかあるの?

どうして、あたしにとって嫌なことばかり聞こうとするの?


あたしは翠川くんの呼びかけに無反応を貫いて、教科書とにらめっこしながら問題を再び解き始める。

それでも翠川くんは、言葉を続ける。



「俺と付き合わない?」



――………!?


無視するはずだったのに。

あまりにも予想外の言葉で……。

数ミリ出したシャーペンの芯がパキンと折れた。