「ありがとう」



笠原くんは静かに笑うと、あたしのメモを受け取った。

あたしを見て笑う笠原くんに、胸がきゅっとしめつけられる。


あきらめないで、よかった。

頑張ればきっと、報われるものなんだ。


笠原くんがこんなにも変わった本当の理由なんて、あたしには分からないけれど……。


笠原くんと普通に話をして、

笠原くんがあたしに笑ってくれるのは、紛れもない事実。



「ありがとう」と言ってくれた笠原くんに、あたしもまた「ありがとう」とお礼を言う。



校舎に響き渡る午後の始業ベルが、いつもとは違う音色に聞こえてきた。