「えー?やだぁ。まだ付き合ってないよー」



そう。

『まだ』付き合っていない。

きっといつか、あたしの思いが通じて、笠原くんと付き合える日がくるはずなんだから。



「……まだ、じゃねぇよ。死ぬまであり得ねぇぞ」



――……えっ?

すぐ横で、笠原くんの低くて通る声があたしの耳にダイレクトに伝わってくる。


迷惑そうな顔をしている笠原くん。

だけど、いまの言葉は間違いなくあたしに向けられた言葉。



「喋ってくれたぁ!」



ノートを渡したときの『バカじゃね?』って言葉は一方通行だったけど……。

いまの言葉は間違いなく、あたしの発言に返したものだ。