笠原くんは再び、いつもの冷たい表情に戻っていた。

そして……。

あたしを睨むようにじっと見たあと……。



「……バカじゃね?」



そう言い放って、スタスタと自分の席に戻って行った。



『バカじゃね?』


頭の中で、笠原くんの冷静な低い声がリピートされる。

あの態度は、気になるどころか、思い切り迷惑そうだった。



「……はぁ」



いまだ大笑いしている立花くんの横で、あたしは溜息をこぼす。



――……あれっ?ちょっと待って?