うっ……!


そこにあったのは、笠原くんの、いつもの迷惑そうな冷たい表情。

さっきまで笑ってなかった!?

なんでそうも、豹変してるのよっ!



「笠原のノート、その中にあるんじゃね?」



あたしが持っていたノートを指さして立花くんが言う。


『押して、押して、引く』


どう、渡せばいいんだ?

間違えて他の人のノートを渡してしまったわけだし。

自分のミスは謝らないといけないよねっ?


一番したにあった、笠原くんのノートを震える手で取り出す。

笠原くんは、早く渡せよ、と、眉間に皺を寄せて手を差し出している。