「これ、おまえのノート。どっかのバカが間違えて俺に渡したんだよ!」



すぐ後ろで、バカ!のところだけ強調しながら話す笠原くんの声が聞こえる。



「あれっ、本当だ」



反射的に、自分の手の中にまだある数冊のノートを確認する。

一番したに、笠原くんのノートがある……。


うわっ、あたしってば何をどう間違えて、立花くんのノートを笠原くんに渡したんだ!?


自分の情けなさに涙が出そうになる。



「おい、尾関ー、間違えるなよー」



立花くんが笑って、呆然と立ちすくんでいるあたしに声をかける。



「は、ははっ、ごめんねー」



立花くんの明るい笑い声につられて、あたしも笑いながら振り返る。