「……どうした?」 放課後の校舎。 階段に腰を下ろして、泣いている一人の女の子。 キンと冷え切った冬の空気は、いっそう寂しさを増す。 女の子のスカートの上に置かれた、真っ赤な包み……。 「章吾に渡せなかった?」 その包みの中はチョコレート。 贈るはずだった相手は、俺の親友・笠原章吾だ。 「……俺が章吾の分まで食べてやるよ」 そう言って俺は、勝手に包みを開ける。