わたしとタロウさんは、狛犬。


ここにいながら、相手の願い事を深く読み取ることもできるのです。


相手がどんな人なのか。

願掛けしている人の日常の行い。


タロウさんが唸り始めたのは、尾関由香という女の子のことを調べているから。



「――ハナコちゃん!」


「どうしたの?」



タロウさんが唸るのを止め、驚いたようにわたしを見ました。



「尾関由香はこの男の子のことが好きなんだよ」


「じゃあ、付きまとっているってこと?」


「そうなんだけどね……」