真剣に聞くあたしを、笠原くんは鬱陶しそうな顔で見る。
「おまえ、うるせぇし。さっさと撮影始めろよ」
「ねぇってば! さっきは言ってくれたじゃない」
「売り言葉に買い言葉だよ」
「……あたし、何も売ってないよ? 笠原くんが勝手に……」
「はいはい、俺が勝手に言いました」
そのあとも、しつこく聞いたけれど……。
「はいはい、好きです」
笠原くんはものすごく鬱陶しそうな表情と投げやりな態度で、「好き」だと言ってくれた。
もう一度だけ聞いてみたかった、あの真剣な告白。
でも、笠原くんの性格上、もう一度同じことを聞くのは無理だろうな。
ムスッとしながらも、どこか照れくさい顔をしている笠原くんを見て、あたしはにこりと笑ったんだ。