「ねぇ、聡くん。あたしのことを好きだって言ったのは……?」



何度となく、あたしに「付き合おう」「好き」と言ってきた聡くん。

あれは……本心……だったのかな。


聞いたあたしに、聡くんはにこりと笑って口を開いた。



「好き『だった』かな? 正確に言えば。それも中学の頃の話だし」

「……おまえ……」



中学の頃って……。

笠原くんに渡せなかったバレンタインのチョコを、聡くんが食べてくれた、あの頃……。

あたしがまだ「翠川くん」と呼んでいた、遠いあの頃……。



「まっ、でもさ。俺、いま彼女いるから、気にすんなよ。なっ?」



そう言って、聡くんは隣にいる成美ちゃんを見て、さらに笑った。