あきらめるつもりなんか、なかったのに……。
笠原くんの勢いが怖くて、咄嗟に「あきらめようと思って言ったの」と言おうとしたけれど……。
「あきらめんじゃねぇよ、もっと頑張れよ、このバカ!」
吐き捨てるように怒鳴られ、あたしは小さな声で「すみません」と謝った。
なんだか目の前にいる笠原くんが、違う人に見える。
あれだけあたしのことを毛嫌いしていたのに……。
「好き」と告白した瞬間に、吹っ切れたかのように、次々とあたしを思う言葉が出てくる。
まるで、夢を見ているみたい……。
「――あ……」
幸せな気分のなかで、あたしは、たった一つ重要なことを突然思い出した。