バカなあたしには、この状況がまったく理解できない。

メールとか、結婚とか。

身に覚えがないことだらけなのに、笠原くんは疑いの目であたしを見ている。


もしかしたらあたし……。

自分の行動を記憶していないとか?

聡くんと結婚すること、笠原くんにメール送ったこと。

全部、現実だったりして……。


過去の自分の行動を思い出すけれど、思い当たることが何ひとつとしてない。


首を右に左に何度も傾げていると、どこからともなくクスクスと笑い声が聞こえてきた。



「……聡……、成美っ!?」



笠原くんの素っ頓狂な声が、静かな教会に響き渡った。


見ると、教会の一番最後の席から、聡くんと成美ちゃんがひょっこりと姿を現す。