「……笠原くん、誰かと間違ってる?」
「おまえ、俺をバカにしてんのか?」
「あたし、今日は撮影でここに来たんだよ?」
「……撮……影??」
「うん。聡くんがね、今度ブライダル特集の担当をすることになって……」
そう。そうなんだよ。
あたしはただ、撮影で来ただけであって。
聡くんと結婚するためにここにいるわけじゃないんだ。
「あたし、モデルを頼まれて……」
「モデ……ル……??」
「うん。あ、謝礼がね、スゴイんだよ」
コトの経緯を話すと、笠原くんの顔はますます険しくなる。
あたしを睨む目も、いっそう怖くなっていく。
「おまえ、メール送ったろ? 聡と結婚しますって!!」
「……メール?? なんのこと?」