「……笠原くん!? どうして……」



振り返った視線のさき。

そこには笠原くんがいた。

ずっとずっと、会いたいと思い続けてきた笠原くん。


笠原くんはオシャレなスーツに、ネクタイなんか締めていて。

誰かの結婚式にでも行くような格好だった。



ゆっくりと歩いて、こちらに向かって来る笠原くん。

どうして、ここに……?

聡くんから聞いたのかな。

それなら、あたしがいることも分かっているはずなのに。



「……あのさ……」



あたしのすぐ近くにまで来た笠原くんがぴたりと立ち止まる。