不安に駆られながらも、教会の中へとゆっくり歩いて向かう。
茶色のドアを開けると、しんと静まり返った空気を全身で感じる。
入り口から祭壇に続く、深紅のバージンロード。
清らかな道という意味のある通路。
その道を、あたしはたった一人で、一歩ずつ踏みしめるようにして歩き出す。
祭壇の前にたどり着いて、あたしは小さく肩を落としながら溜息をついた。
「―――尾関……?」
背中で感じる、懐かしい声。
同時に、あたしの胸はドクンと大きく鳴り響く。
まさか……。
ううん、そんなはずはない……。
頭の中は混乱していて。
あたしは大きく息を吸い込んだあと、ゆっくりと振り返った。