……あぁ、そっか。

あたし、倒れちゃったんだっけ?



「なんで、翠川くんがここに?」



どうして翠川くんがここにいるのか。

ぼんやりとした頭で、倒れたときのことをゆっくりと回想しながら、あたしは翠川くんに問いただした。



「目の前で倒れたもんだから、俺が運んできたんだよ」

「……そっかぁ」

「次の授業の先生には言っとくから、ゆっくり寝とけよ」

「うん、ありがとう」



優しいなぁ、翠川くんって。

中学の頃からそうだった。

いつも一緒にいる笠原くんが、あたしのことを散々無視しても、翠川くんは普通に話しかけてくれていた。